【エッセイ】悩み、解消。出発進行!

反省や今後の対策のため、という理由での過去回顧は意義深い。
いっぽう、現時点の自分を嘆くためだけの過去回顧は余計惨めな気持ちになるだけ。
それは誰もが先刻ご承知。
でも、実際は後者の過去回顧をする人のほうが多い。
現実は厳しいものだし、納得いかない状況や劣等感に苛まれる機会が多いのだから、当然といえば当然なのだけれど。

とはいえ、やはりせっかく過去回顧するのならば、前者であるように意識したいところですね。


なぜ僕はここまで筆が遅くなってしまったのだろうか。
なぜ目的としている分量の文章を書き上げることができなくなったのだろうか。
そんなふうに悩んでいる僕がいます。

比較しているのは過去の自分なのだから、この疑問を抱いている時点で過去回顧していると言えるわけで。

このまま終われば「あの頃は良かったなぁ」という思い出話で終わってしまう。
いかんいかん。

昔は、10万文字を超える文章も特に苦労を感じることもなく平気で完成させることができていました。比較的筆の進みは早く、内容にかかわらず1時間に3~4000字の文章を書き上げていました。
長編小説は10万文字というひとつの基準を持っているので、長編小説を書き上げる場合は、2週間ほど。怠けながら書いても1ヵ月に1作は完成させることができていました。
編集者に提出しなければならない、という強制力があったものの、構想も含めて、文章を帰結させることができていたのです。

しかし今はどうか。
物語の途中までは以前と同じように筆が進むのだけれど、毎度同じようなところで筆が止まり、書き進められなくなってしまうのです。
今の僕は、プロットをある程度最後まで決定してから書き始めているので、話の続きの構想が思いつかないというわけではありません。
それまで書き進めていたように、その流れのままに書き進めれば完結はするのだと思います。
それがわかっているのに、手が止まってしまうのです。
たいていは全体の半分くらい、だから4~5万文字くらい書いたところで、今まで書いてきた内容に疑問を抱いたり、このまま書き続けて完成させても苦労に見合う内容じゃないような気がするなどと思ったり。
他にもなにかに理由をつけて、書き進められなくなる。
その地点から、あと何を書いて、どのように物語を着地させるのかというプロットは決まっているというのに、僕自身の何かが破綻してしまう。物語は破綻していないのに。

今度こそは今度こそは、と言い聞かせながら何度も何度も同じようなことを繰り返しています。
ですから、僕のライタフォルダには長編用のプロットと4~5万文字まで書いた原稿が、たくさん眠っています。

なぜそうまでして長編執筆をし続けようとするのか。
まぁ、1つの構想で10万文字の分量にできるか、あるいは10万文字の分量のために10個の構想を考えなければならないのか。この2つの選択肢を考えた場合、前者の方が圧倒的に効率がいい。だって前者に対して後者は登場する世界設定や人物設定も10倍思いつかなければならないのですから。このことについて大御所作家さんもおっしゃられています。やはり長編小説を書けるほうが作家として長生きできるのだと。
実際、読者獲得にあたり、強いファクターとなるのはキャラクターに感情移入してもらうこと。そのキャラクターを好きになってもらえさえすれば、ストーリー性がやや陳腐でも、面白く読んでもらえる。
そのためにはやはり長編でしっかりとキャラクターを描くことがいいんですよね。
短編の場合は、どうしてもキャラクターを深堀することができず、ワンシーンの中での一部分を表現することくらいしかできません。

ということに捉われている自分に、最近気づかせてもらうことがありました。
奥田徹さんの短編集を読んで、やっぱり僕は短編がいいって思えたんですよね。
販売効率だとか、そういうのは考えては駄目だなということ。

以前より「僕は短編タイプの性格です』ということを宣言はしていたのですが、そのことに対するひたむきな純粋さは置き去りにしてしまっていました。ですからここ数年間の僕は、効率の良い長編を書こう書こうとばかり思ってしまっていました。長編を書かなければならないと思い込んでいました。そのほうが得だから、と。

ここ数年、何度も何度も構想を考えて書いては、ただの1作も完成させられなかった。
というのに、奥田徹さんの短編集を読んだだけで、昨日1作をあっさり書き上げました。そして今日、また短編が1作書き上がりました。両方で2万文字以上になりますから決して文章量を減らしたから完成したというわけではありません。内容が短編向けになっただけ。
この執筆速度があるというのにたった10万文字の小説を、ただの1作も書き上げられなかったのですから、自分のことながら不思議なものです。

そんなわけで、ありがとう奥田徹さん。
短編集をちょっと読み進めては、短編っていいなぁっていう思いをもらってから、自分の短編を書いてます。
僕のエネルギータンクにガソリンを注入してもらってるような感じかな。全然『ガソリンゼロ』じゃない!!
やっぱり僕は短編でこそ輝くのだ、信じようと思う今日この頃。

そんな奥田徹さんの新作短編集『往年のアイドル』はこちら(感想文は後日、別の記事としてアップします)。


なんと500円で44編も収録されています。
贅沢仕様ですが、500円出版のハードル上げすぎないでぇ、なんてなんて(≧▽≦)b

ちなみに、往年のアイドルは著者名が『奥田庵』になっている模様!! そして美麗な表紙イラストは油絵作家・増田佳子画伯です。デザインも合わせてお楽しみあれ~♪
(nono-typewrite)