【エッセイ】掟上今日子の備忘録~先頃、文庫化♪~
タイトル【掟上今日子の備忘録】
著者【西尾維新】
イラスト【VOFAN】
何か【小説】
お値段【756円~(紙書籍&電子書籍)】
出版【講談社】
売ってるとこ【アマゾン、楽天、書店など】
「探偵を呼ばせてください!」
主人公でありこの物語の語り手である隠館厄介がそう宣言することで物語は開幕する。
新垣結衣主演でドラマ化されたということもあり、西尾維新さんの数多くある作品の中でも知名度の高い小説となっている。
それが先頃、文庫化されたのでご紹介しようと思う。
物語は連作短編形式で進められる。各章に1つの大きな問題があり、それを解決するという形のライトミステリ(※殺人などを扱わないミステリのこと)である。
【盗まれた100万円、それを返してほしくば2億円を振り込め!!】という奇想天外な身代金要求事件。この頓珍漢な要求に正当性があるとすれば、いかなることがあるのだろうか。
大作家の遊興【未発表原稿宝探しゲーム】。しかしとあることがキッカケとなり、宝物の在り処、その答えが失われることになる。一体未発表原稿はどこに隠されているのだろうか。
などなど。
それぞれが短編として独立してはいるが連作として繋がっている。
短編としての謎の解決は章ごとに終わるけれど、世界観のリセットは行われない。読み進めれば進めるほど、どんどん世界観は深まっていく。
さて、世の中には探偵モノの小説など吐き捨てるほど存在する。そんな中で、この掟上今日子シリーズが突出すべく特徴と言えば、掟上今日子が背負っている体質にその全てが由来すると言っても過言ではない。
そのはず、それはそのまま物語のキャッチコピーともなっている。
【最短最速の探偵】
掟上今日子の探偵としての能力が高いがゆえに、事件はたちまちに即決、ということではない。
もちろん探偵物語の主役足り得る最低限の能力を有しているものの、それはあくまでも探偵としての相応にすぎない。
有名どころで言えば名探偵ホームズや金田一耕助などなどそうそうたる探偵達が生み出されてきた。そんな彼らを差し置き、それ以上の探偵能力を発揮して、最速で事件を解決するというのならば物語はむしろ薄っぺらくなってしまうだろう。どこか作者都合で嘘くさい物語なのではないか、などと邪推してしまう。
そうではないのだ。
掟上今日子は、どうしても最短最速で問題を解決しなければならないのだ。そうでなければ必ず失敗に終わってしまうのである。
なぜならば、彼女は眠ることで1日の記憶をリセットしてしまうという体質の持ち主だからだ。
事件解決のヒントを探し、いくら問題解決の論理を構築しようとも、次の日にはその全てを忘れてしまっている。だから覚えている今日中に解決しなければならない。
解決のための調査も、解決のための論理の構築も、最速でなければならないのだ。
これこそがこの掟上今日子シリーズの大きな縛りであり、読者を最も楽しませるポイントとなっている。
そのせいなのだけれど、哀しいかな主人公隠館厄介は、だから毎度のように「はじめまして!」と、掟上今日子を呼ばなければならない、というシュールなところがまた非常に面白かったりする。
言い回しなどによる言葉遊びの多い西尾作品。そんな中で本作は比較的端的な文体で、全体を通して非常に読み易い構成となっているように思う。たとえば物語シリーズや戯言シリーズ、地球シリーズなどよりも大衆性があるように感じる(あくまでも私見)。であればこそドラマ化された、というのもうなずける話。そんなドラマ化の話も、出版から間もなく最速で決まったらしく、本作は名実ともに最短最速の小説となったのだとか(笑)
【忘却探偵シリーズ】
1-掟上今日子の備忘録(文庫化)
2-掟上今日子の推薦文
3-掟上今日子の挑戦状
4-掟上今日子の遺言書
5-掟上今日子の退職願
6-掟上今日子の婚姻届
7-掟上今日子の家計簿
8-掟上今日子の旅行記
9-掟上今日子の裏表紙
10-掟上今日子の色見本
注:上記、商品販売ページでは、紙媒体での販売なのか、電子書籍での販売なのか、を間違えないように良くご確認ください。免責事項にも記載しておりますが、読者様が万が一間違えて購入なされたとしても当方は一切責任を負いかねます。悪しからず。