長年ぶりの再開なのに初対面~ヴィンテージワインの熟成にも負けじ~

エッセイ/essay





日、保育園、小学校、中学校などが一緒だった地元の仲間とのお食事会がありました。

は僕を含めて3人、その倍以上の異性がいました。年齢の話ではありません。恐れ多いです。人数の話です。
その女性たちの中に男好きはいるのでしょうけれど、女好きの女性がいたのかどうかは、会話からは読み取ることはできませんでした。
表情や仕草、服装などから想像するに、髭を蓄え、筋肉ムキムキの女性はいないようでした。「脱いだらダイナマイトボディなのよセイヤーッ!」と主張してくる金太郎のような女性も、珍しくひとりもいませんでした。

、それぞれに「お久しぶり!」「元気してた?」「今何してんの?」「自分変わらないね」「お前全然老けてないなぁちなみに今日オレ裸眼な!」などと声を掛け合って再開を祝福し合いました。※会話文中の『オレ』とは失礼な知人のことであり、紳士が板についている僕ではありません!!

、お酒が進み、ある者の髭は少々伸び、ある者の髪の毛は少々抜け落ち、ある者が少々セクハラに着手しようとする中、驚異的アルコール虚弱体質の僕はひたすらオレンジジュースを飲み続けることで理性的な紳士ぶりを遺憾なく発揮し、料理を運んできた店員はもれなく僕に皿を差し出す、という負の流れが形成されつつありました。

の紳士的な皿の受け取り方と、追加注文時の甘い声の出し方の話をすると20年くらい語り続けないととても伝えきれないため、ここでは端折ることにして。
そんな折、ひとりの女性が僕のとなりに座りました。

然、急に、どうして?
ということもなく、周囲に促されてその女性は僕のとなりに来たわけです。

ぜかというと、小学1年生から中学3年生までの9年間も同じ学び舎にいたというのにもかかわらず、僕たち二人が挨拶すらしたことのない関係であることを皆が知ったからでした。

の女性が場の雰囲気を壊したくないからと嫌々僕のとなりに来たという真実があったとしても、見栄っ張り&強がりの僕はここではそのことをひた隠すことにして。
その女性は僕に好意があったからとなりに来たのだよ、と思えるような雰囲気の服装をしていた、とだけ言っておこう。

泣くもんかっ!!

学校の時から、その女性の名前は聞き及んでいました。
というのは、学年でも『美人』ということで何かと名前があがっていたからです。

はいえ、在学中にその女性に近づくこともなく(物理的な意味で)、どのような顔をしているのかも思い出せない程度の認識しかありませんでした。
たとえば、同年代の知らない女性10人にその女性が混じっていても、僕はそれを見分けることができないだろう、というレベルです。

するに、幼馴染み並みの存在認識はあるけれど、初対面に限りなく近い状況。
お互い知っているようで知らないようで知っているようで知らないようで、というような不思議な精神的ループが脳内で展開できたわけです。
そんなですから、声をかけることにはさほど緊張もなく『地元』としての距離感で接することができます。
いっぽうで、その外見は初めて見たに等しい女性なわけで、つい人並な『あ、ほんと美人だぁ』という感想がぽろりと出そうになりました。
英国紳士を彷彿とする内面を持つ僕としては、あくまでも挨拶として「綺麗ですね!」との声をかけねばならないのです。使命なのです。

、そこで喉がグッ、と締まったわけです。
なぜか。

の女性に「綺麗ですね!」と声をかけるということは、声をかけていないその他の女性に対して失礼になってしまうのではなかろうか、それは紳士的ではないのではなかろうか、との視野の広い配慮が脳裏をよぎったのです。

の他の女性たちとは小学校低学年で初対面をすでに果たしているのです。さすがのアジアンテイストエキゾチック紳士であるところの僕とて、初対面女性に対する挨拶が「はじめまして」ではなく「お綺麗ですね!」という社会常識を知る由もありませんでした。
そしてすでに初対面を果たして、オサナが馴染んでる女性に対して会うたびに「お綺麗ですね!」を連呼するわけにもいかず、「お久しぶり」が常套句となってしまっていたのです。
そんなわけで、まだ、言ってないゾ。

しもその女性に「綺麗ですね!」との声をかけるのならば、続いてその他の女性に対しても「綺麗ですね!」「綺麗ですね!」と声をかけて回らなければなりません。
しかしながら、居酒屋の狭い空間にて人の間を次々に移動するのは、社長や上司にビールを注いで回るおべっか平社員のごとしであり、紳士的ではありません。
却下。

いうわけで、静粛に!!

「みんな、綺麗だと思います♪(※シラフです)」

、しばらく会わないうちに、白い目をするのがとても上手になっておりました。
大人なんだからぁもぅ~(‘ω’)ノ
(2019.01.01-written by K.Mitsumame)

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