必読!! ストレスと闘う君へ♪~ココロパンドラ永遠なりて後編~

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 前回はストレスフルな状況について、具体例を出してあげつらってきた。
 それらのエピソードの共通項を見出せれば、きっと、ストレスの発生要因を突き止められるはず。
 そこで、僕は考えてみることにした。
 するとどのシチュエーションにも『思い通りにならない』という共通点があることに気づくことができました。素晴らしい。
 ストレス――――それは、言い換えれば『思い通りにならない際に生じる心の負荷』ということになる。
 これがストレスの大元に違いない。
 不満には、それ以前に『思い』という能動的要因があるということ。
 つまり、ストレスを抱かないで済むようにするには何も思わなければ良い
 たったそれだけのことである。
 よし来たっ。
 さっそく実験してみよう。
実験内容は次の通りである。

 とある人物にストレスをついつい感じてしまうシチュエーションに立ち向かってもらい、その中で『何も思わない』よう努めてもらう。

もしもそれでその人物がストレスを感じることがなければ、これは大発見となる。
では、さっそく、その人物に、とあるカップルの様子を観測してもらうことにする。
なお、以下に記す観察日記は、よりリアリティを感じてもらえるよう、お願いした人物自身が語っているかのような文体となっている。決して僕と混同しないように!!

※※※
 彩佳あやか(仮)はとっても可愛らしい女性である。背は低く童顔にも拘わらず出るところが出ている。ゆるりとしたパーマのショートヘアが良く似合っている。あの桃色のふわふわワンピースはどこで買ったのだろう。育ちの良さが感じられる。
センス良すぎっ。
一方、カスは、何一つ良いところが見受けられない、性別が男であるというだけの人間である。
カスのくせに服を着ているとか生意気っ。
なにゆえそんな不釣り合いな二人が、この私を差し置いて付き合っているのか。納得がいかない。
とにかく、観測している私に多大なストレスを感じさせるようなカップルなのである。
このデート中に彩佳(仮)が盛大にカスをフルことでしか、私のこのストレスは解消されないと予想される。
私は内心で呪詛じゅそを呟きながら、二人を追尾することにする。

本日、陽気は穏やかで、公園を散歩するにはもってこいである。どうでも良いし。
良く整備されたなだらかに曲がる道、緑鮮やかな樹木、青く輝く池、意味不明なモニュメントや心憎こころにくい二人掛けのベンチ、心無こころない飼い主が放置する犬のふん
彩佳(仮)がカスに向ける笑みが輝いて見えるのは、太陽の光とこの公園のデザインのおかげであると信じたい。1ミリとてカスがその笑顔の要因にはなってはいないはず。
カスがポケットに手を突っ込んで、気取った感じで歩いている。
池に転がり落ちろ、沈めっ! そしてSHI・ZU・ME!
私は二人から三十メートルくらい離れた道端みちばたのクヌギに隠れて観察している。
ここからだと彩佳(仮)とカスは手を繋いでいるように見えなくもないが、たぶんカスの肩から先は魚肉ソーセージか何かで出来ていて、手ではないと思う。
彩佳(仮)が前方を指さしながら何かを言っている。
カスが偉そうにもうなずいている。彩佳(仮)が自分にゾッコンだと勘違いしているのであろう。その安心が命取り。カスは本日、デート中に繰り広げられるであろう揉め事が原因で盛大にフラれるのだ。熱烈希望お願いかみさま!
彩佳(仮)が指さしていたのはボート乗り場のようだった。
平日昼下がりに安いボートで、あれほどまでに喜んでくれる女性が世界にどれだけいようか。確かに結構な数いるのかもしれないが、それはさておき、ますます彩佳(仮)という女性の純真じゅんしんさに心打たれる思いである。
カスはブランド街でショッピング、というデートコースを提案しなかったことを後々後悔することになるだろう。あらゆる消費者金融からお金を借りられるだけ借り、その全てをつぎ込むだけの価値があるのだ、彩佳(仮)には。それをまぁ、たったの1000円て(笑)
二人はボートに乗った。
カスがオールをぐようだった。ベタなー。
そこは遮蔽物しゃへいぶつの一切ない見通しばかりが良い池である。
私はボートに乗ることができず、池のそばの木の陰から二人の一時の密室を眺めることしかできない。
男だけを食するさめでもいないものかと水面を眺めるも、錦鯉にしきごい悠々ゆうゆうと泳いでいるだけである。周辺に手頃な石ころすらない。さらに残念なことに拳銃ピストルも落ちていなかった。
二人は三十分ほどボートで右往左往していたが、船底が氷山にぶつかって転覆てんぷくし、男だけが沈んでいくような心躍こころおどるスペクタクルはなかった。残念でならない。
彩佳(仮)とカスはボートから降りると、また道を進んで行く。彩佳(仮)はまた魚肉ソーセージをつかんでいるようだ。
しばらくすると濃厚なソースの香りが漂ってくる。
二人はたこ焼きを販売している出店へと向かい、それから傍のベンチに腰掛ける。
どうやら二人で一つだけ買ったようだった。
さすがはカスである。実にケチ臭い。
が、
二人で分け分けして食べるというイベントに突入する恐れを秘めているため、素直には喜べない。
ともかく、彩佳(仮)がはふはふと息を吹きかけたたこ焼きを、カスが「あ~ん」と頬張った時には銃を打ち込んでやりたくなった。辺りを捜索したが、やはりバズーカ砲も核弾頭も落ちていなかった。もぅ日本てば安全♪
それから二人は公園内をぶらぶらしては座り、ジュースを飲んだりと何が楽しいのか理解に苦しむことを繰り返した。彩佳(仮)は相変わらず魚肉ソーセージを掴んだままである(笑)
そうこうするうちに、いよいよ場が持たなくなり、不甲斐ふがいないカスのカスっぷりに彩佳(仮)が気づきはじめるかに思われた。
が、陽光がしゅに染まり始めた頃、期待していたこととはまったく別の異変が起こったのである。
彩佳(仮)は魚肉ソーセージに寄り添うようにして公園を出ると、道路沿いの歩道を進み、とある建物の中に入って行ったのだ。
彩佳(仮)の足取りに躊躇ためらいは感じられなかった。
私は、姿を見られる恐れがなくなったので、慌てて走り、その建物の下まで進んだ。
看板には『休憩1980~、宿泊4980~』などとカラフルな文字で記されている。
私はその場に呆然と立ち尽くしてしまった。
頭の中がぼぅっとする。真っ白になる。
先ほどまで感じていた血が沸き立つような憤怒ふんぬが、この時ばかりは脱力感に変化する。
身体に力がまったく入らない。
唖然茫然気虚烈々あぜんぼうぜんききょれつれつ
その時、ポケットに微動を感じた。
携帯電話の着信だった。
私は、なけなしの力を振り絞り、ポケット携帯電話を取り出した。メールを受信したようだった。
開く。
『あんた、どこほっつき歩いてんの? そろそろご飯にするから早く帰ってくるように!』
私は妻のメールに、幾ばくかの救いを感じ取るようにして、トボトボと帰路に着いたのである。

その後、私は夕食を口にしながら、さりげなく妻に問うてみた。
「あぁ、えーと、今日は彩佳(仮)の姿が見えんなぁ。どうしたんだ? 夕食くらい家族で食うもんだろう」
こんなふうに切り出したのは、私のストレスを妻にも連帯してもらおうと画策してのことだ。このあと『実はたまたま彩佳(仮)らしき人物を先ほど見かけたのだが、軽はずみなことはしないようにちゃんと釘をさしておくように!』という自然な流れに持っていくつもりである。むふふ。
しかし、私の想いはことごとく思い通りにならない。
「何馬鹿なこと言ってんのよ。彩佳(仮)はもう何歳だと思ってんの
「んーとぉ……28?」
「早く子離れしなさいよ。気持ち悪い」
その夜、私は眠れなかった。
度重たびかさなるストレスが原因だろう。    (完)

【実験結果】
 何も思わないとかゼッタイムリっ!!
 だって人間なんだもの♪

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