お客様が神様だって?

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【お客様は神様です】
 商売に係われば一度は耳にする言葉である。
 どんな人がどこでいつ言うのかと言えば、お客様や神様に絶対に聞かれない場所で、売り上げがほしくてたまらない人が朝礼などで言うのだ。例外として売り上げがほしくてたまらない人に強制的に言わされている人もいる。が、これを続けていると言わされている人も、いつしか誰かに言わせる人へと成長を遂げる。いつしか言わされている人に言わされていた人が言わせた人も言わせる人になるから、その周辺一帯が言わせる人ばかりになっていく。売り上げがほしくてたまらない会社組織はこうして強固なものとなると考えている人がいても自由だ。

 この言葉を理解するうえで大切なことは、僕たちお客様側の人間が、神様についてほとんど何も知らないということだ。知られていては困る、というのが売り上げがほしくてたまらない人及び、売り上げがほしくてたまらない人に言わされている人の本音なのである。
 では、それはどうしてなのだろうか。
 この疑問に答えるには解釈かいしゃくの仕方について考える必要がある。ような気がしたので考察こうさつしてみた。
 この言葉の解釈には四通り考えられる(人によっては五通りも六通りも考えられるだろう)。

神様なんぞお客様程度のものでしかない。
 これは【神様】を限りなく低俗なものとして設定しなければ思いつかない解釈だ。小心者の僕にはとてもではない恐れ多い発想だ。特定の宗教を持たない日本人らしい解釈だと感嘆の息が漏れる思いである。拍手。

お客様なんぞ神様とか言っときゃ喜ぶ。
 一見安易な発想だと思うが、これに喜んで天狗になっているお客が以外に多いから馬鹿に出来なくなってしまった解釈だ。今まさにこの文章を読んで「そんな単純な馬鹿がいるものか!!」と鼻で笑った人の中にも、「お帰りなさいませ、ご主人様♪」と満面の笑みを向けてくれる美人メイドさん相手に得意気になっている人はいまいか。美人メイドさんの笑顔にココロトキメカズニいられる人がいるものか。
 この解釈の質の悪いところは、この言葉を真に受けて神様化してしまったモンスター客に限って、自覚がないということ。

本当にお客様が神様だった。
 神様とはあくまでも仮想的存在であるか、あるいは特定の精神を具現化ぐげんかした概念がいねんである。実在を確認されていないという意味では宇宙人やネッシーのようなものだ。つまりは、そんな存在と実際に邂逅かいこうしたお店ということになる。これがもしも真実と言うのならば世紀の大発見だとメディアが黙っているわけがない、とあなたは思うかもしれない。しかし「宇宙人と出会った」と言う人が白い目で見られるように、「か、かか、神様が来店したんだ!」と言っても「店主の頭がおかしくなった」としか思ってもらえないことを店主などは良く知っている。ゆえに、このタイプの解釈は店主及び関係者により隠蔽いんぺいされ、あまり表沙汰にならないのだ。残念でならない。

その他。
 を、考えるほどの価値あるテーマではないと思える。

 さて、すでにお分かりのように、僕は「お客様は神様です」という言葉の本質に迫ったと自称している。ゆえに、実際に売り上げがほしくてたまらない店員さんへの対応の仕方には神がかったものがあると信じている。
 以下、電気屋さんに電子ケトルを買いに行った神様感たっぷりのお客・僕と女性店員のとある顛末である。

 店内には、整然と商品が並んでいる。女性店員さんが近寄って来た。
いらっしゃいませ(うわ、服ダッセー)。何かお探しですか?
あー、これはまた綺麗な店員さん。僕は人生を賭してあなたを探していたようだ
あ、え?(は? 何言ってんのこの人……)」
僕は人生を賭してあなたを
ありがとうございます。聞こえてます。あはは(はぁ。お客様は神様神様神様。気を取り直して笑顔)。何をお探しでしょうか?
だからあなたを
もぅ御冗談(しつけーよコイツ、神様神様、笑顔笑顔)」
冗談なんかではあり
あーっ、これをお探しだったのですね。はいどうぞ
え? こ、これはまさかっ!!
まぁまぁ良くお似合いです。お買い上げ有り難うございます。うれしいっ(わけねーだろう。早く帰れ)」
 僕にはどうやらカールドライヤーが似合うらしい。彼女に言われなければ絶対に気づかなかったことだ。僕のことをきっと神様だと思っているであろう美人店員さんが言うのだ、間違いない。買う以外に選択肢はない。
 彼女とは、まず髪を伸ばすことを約束して、僕は気分良く電気屋さんを後にした。
 帰宅後、電子ケトルを買いに行った事を思い出した。
 カールドライヤーの熱を利用してお湯を沸かせないか考えたが、無理であった。

本項のまとめ
 お客だからといって神様ぶってしまったら、本来の目的を忘れてしまいがち。

 

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