哲学的考察を経て、少年は高い高い大人の階段をいち段、昇る!!

男子生徒はもれなく思春期的哲学を突きつけられるものであります。
こんにちは、そしてこんばんは乃楽です。

その哲学的考察と答え合わせを乗り越え、高い高い大人の階段を一段、昇るのであります。

その哲学のテーマとは何か。
そうです。

『カッコヨサとは何なのだろうか?』

誰しもが、もれなく直面し、少年は少年らしい思春期に突入するのでありました。


【普遍的な、少年の過去について】
思春期の頃、多くの男子生徒が『カッコヨサとは何か』という哲学に没頭するものである。
かように僕も哲学少年であったのだけれど、その頃の『カッコヨサ』とは、同年代の異性の評価にのみ適用されるものであって、国会議員、先生、おかあさん、近所の野良犬などから頂く、カッコイイという評価などどうでもいい。そんなものを頂いたところでうれしくもなんとないのである。
ときおり学校へ行くと、同じクラスの山田くんの髪型がギザギザの妙チクリンになっていることがあったと思う。笑いをこらえた、という記憶が誰しもあることだろう。あの妙チクリンな髪型れこそが山田くんの哲学的試行錯誤が目に見える形となって現れたものである。
たいてい、かように男子生徒の哲学的思考の結果は惨憺たるものなのである。

そして少年たちは、2月14日を迎えることになるのである。

山田くんの例のように、おおよそ1年間かけて没頭した哲学的思考と試行錯誤の成果を試す日の到来。
『カッコヨサとは何か』の本試験日と言えよう。言い換えればバレンタインデーである。
当然それまでのお試しの日常とは違い、本試験であるため、男子生徒たちは登校の時点からそわそわしているものである。周りの視線をものすごく意識していたりするものである。
その日の23時59分59秒までソワソワしている。
そのソワソワを無理に隠そうとするから不自然な、つまりは妙チクリンな動作をしてしまう男子生徒がたくさん出来上がってしまうのだ。もしも大人が同じような挙動をした場合、『不審者』と呼ばれ、おまわりさんと仲良しになることになるから恐ろしい。
つまり、ハイレベルな哲学少年であるところの僕のような少年からすれば、山田くんのそのような妙チクリンな行動が見られたとき、内心ガッツポーズをするのである。
あんな行動をしている時点で、異性のカッコイイという評価は得られまい、と。
そう、評価とは相対的なモノなのである。
つまり『イイネ♡』の奪い合い。
この時点で、山田くんのような不自然なソワソワ感が行動に出てしまった者は脱落者となるのだ。がゆえのガッツポーズ。

そして時はお昼休みである。
なるべく多くのフリータイムを確保するため、男子生徒は皆、お昼ご飯を3秒で胃袋に放り込む。
そしてクラスの女子全員の耳に聞こえるように「中庭でのんびりしてこよっかなぁ」と言いながら教室を出ていくのである。先に中庭を取られれば、次の男子生徒は階段の踊り場、トイレ前などなど、他の男子生徒とバッティングしないようにさりげなく行先の宣言をして教室を出ていくのである。
そうしてしばらくすると、中庭に佐藤さんがやってくることになる。この時、佐藤さんがもじもじしているように見えてしまうものである。
そのはず、佐藤さんが隠すように持っている物が、チョコレートであることくらいわかっているからである。
佐藤さんは僕の前に来て、そのチョコレートを差し出して言うのである。
「あのぅ……これ……」
奥ゆかしい。とても奥ゆかしい。そして可愛い。佐藤さんの可愛さになぜ気づかなかったのだろう、などと思ってしまうものなのである。大人で言うところの、白銀のゲレンデで見る女性が、普段見るより3割増しで綺麗というのに似た心理である(ちがうかー笑)。
この時のチョコレートの受け取り方こそが、カッコヨサ哲学の成果を出すところである。あえてハニカミ、気づいていないフリをしてあげるのが正解である。
「え? 何、どうしたの佐藤さん」
優しい口調で僕は佐藤さんが言い出しやすいように聞いてあげるのだ。
内心はガッツポーズが止まらない。照れ照れ。
しかし、佐藤さんは予想だにしていなかった発言をするのである。
「山田くんに渡しておいてほしいの。乃楽くん、仲良いよね」
なんたる落とし穴。
山田くんだぞ。
あの山田くんなんだぞ。
髪型めちゃくちゃ変だし、イケメンってわけでもないし。
揺れに揺れる僕。
しかしそんな気持ちを押し殺し、問うのである。
「そかぁ。で、山田の何が良かったの?」
答えは明確であった。

何を隠そう、山田くん、地元で有名な山田不動産の御曹司なのである。

へん、結局はカネかよっ!!

こうして『カッコヨサ』の大きな要因に『経済力』という抗いがたい条件があることを知り、少年は大人になっていくのであった。
(全部、フィクションですからねっ、誤解なきようっ!!)
(2019.9.30-typewrite)

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Posted by nora-riku